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心不全とは?息苦しさやむくみ、疲れやすさ|赤羽内科クリニック

  • 更新日:2025.10.09
  • 公開日:2025.10.08

心疾患は日本人の死因第2位

日本における心不全は、患者数が約120万人と推定され、今後も高齢化に伴い増加すると考えられています。特に75歳以上で発症率が急上昇し、80歳を超えると10人に1人が心不全を抱えるといわれています。

男女ともに発症しますが、男性は心筋梗塞などを原因とするタイプ、女性は高血圧や加齢によるタイプが多くみられます。心不全は一度発症すると再入院を繰り返すことが多く、医療や介護の負担も大きい疾患です。

本記事では、「心不全」について解説します。厚生労働省によると、心不全を含む心疾患は日本人の死因第2位に位置しており、生活習慣病の管理や早期治療が極めて重要とされています。

心不全とは?

心不全とは、心臓のポンプ機能が低下し、全身に十分な血液を送り出せなくなった状態を指します。心臓は本来、酸素や栄養を体中に届ける重要な役割を担っていますが、その働きが弱まると、体の臓器や組織に必要な血液が行き渡らず、息切れやむくみ、倦怠感などの症状が現れます。

心不全は病名というよりも「状態」を示す言葉で、心筋梗塞や高血圧、心筋症など、心臓疾患の結果として発症することが多いです。急に症状が悪化する「急性心不全」と、長期間にわたって徐々に進行する「慢性心不全」に分けられます。

急性心不全

急性心不全とは、心臓のポンプ機能が急激に低下し、全身に血液をうまく送り出せなくなる状態を指します。数時間から数日のうちに突然発症することが多く、命に関わることもあるため、迅速な対応が必要です。慢性的に心臓の機能が低下していた人に起こる「慢性心不全の急性増悪」と、これまで心臓に問題がなかった人に突然起こる「新規発症型」の二つのタイプがあります。

慢性心不全

慢性心不全とは、心臓のポンプ機能が長期間にわたって徐々に低下し、全身に十分な血液を送り出せなくなっている状態を指します。急性心不全のように突然発症するわけではなく、少しずつ進行していくのが特徴です。初期のうちは自覚症状がほとんどなく、疲れやすい、息切れがするなどの軽い不調として現れるため、見過ごされやすい傾向にあります。

心不全の症状

心不全の症状は、心臓のポンプ機能がどの程度低下しているか、また右心不全か左心不全かによって異なりますが、共通して「息苦しさ」「むくみ」「疲れやすさ」といった全身の循環不良によるサインが現れます。

また、その他の症状として、全身のだるさや疲れやすさ、集中力の低下、動悸、冷え、めまいなどもあります。血流が悪くなることで脳や筋肉への酸素供給が減少し、体全体の活力が低下します。特に高齢の方では、「なんとなく元気が出ない」「食欲がない」といった一見軽い不調が心不全の初期症状である場合も少なくありません。

左心不全

左心の働きが弱まると、心臓が全身へ血液を十分に送り出せず、肺に血液が滞って「肺うっ血」が起こります。この状態では呼吸に関する症状が目立ち、動いたときの息切れや坂道・階段での呼吸困難、横になると息苦しくなる「起座呼吸」、夜中に息苦しさで目が覚める「夜間発作性呼吸困難」などが見られます。軽い運動で息切れを感じる場合は、左心不全の初期サインの可能性があります。

右心不全

右心の働きが弱まると、血液が体の静脈側に滞留し、足やくるぶし、すねなどにむくみが出やすくなります。進行すると腹部にも水分がたまり「腹水」となり、胃の圧迫感や食欲不振を引き起こすことがあります。体重の急な増加は、体内の水分が増えているサインであり、日々の体重変化をチェックすることも大切です。

心不全の原因

心不全の原因は、心臓そのものに障害が生じる場合と、心臓に負担をかける他の病気や生活習慣による場合とに分けられます。いずれも共通して、心臓が全身に十分な血液を送り出せなくなることが根本的な問題です。

心筋梗塞や虚血性心疾患

代表的な原因は「心筋梗塞」や「虚血性心疾患」です。心臓に血液を送る冠動脈が詰まることで心筋が壊死し、ポンプ機能が低下します。心筋の一部がダメージを受けると、他の部位が補おうとして負担が増し、やがて全体の機能が弱まります。

また、慢性的に冠動脈が狭くなって酸素が足りない状態が続く「虚血性心疾患」も、徐々に心筋の収縮力を奪い、心不全を引き起こします。

高血圧

次に多いのが「高血圧」です。血圧が長期間高い状態が続くと、心臓は強い圧力に逆らって血液を押し出さなければならず、心筋が厚くなって硬くなります。これを「心肥大」と呼び、やがて心臓が拡張しにくくなり、血液を十分に送り出せなくなります。

弁膜症

弁膜症」も原因の一つです。心臓の中には血液の逆流や停滞を防ぐ弁がありますが、この弁が狭くなったり(狭窄)、閉じなくなったり(逆流)すると、血液の流れが妨げられます。弁膜症は高齢者に多く、進行すると心臓に大きな負担をかけて心不全を招きます。

心筋症

さらに「心筋症」も心不全を起こす代表的な病気です。原因不明の心筋の異常(拡張型・肥大型・拘束型など)により、心臓の収縮力や弛緩力が低下します。また、「不整脈」も拍動のリズムを乱し、効率的な血液の拍出を妨げるため、長期的には心不全につながります。

その他の疾患

そのほかにも、糖尿病腎臓病甲状腺機能異常貧血などの全身疾患も心臓に負担をかけます。過度な飲酒や喫煙、ストレス、塩分の多い食事、肥満、運動不足などの生活習慣も悪化要因です。特に、これらの要因が複数重なることで、心臓の機能が急激に低下することがあります。

心不全の診断・検査

胸部X線撮影心電図

心不全の診断では、問診と身体診察から始め、症状の経過や生活習慣、既往歴などを丁寧に確認します。息切れやむくみ、体重増加などの自覚症状がある場合は、心臓の働きが低下している可能性を考慮し、胸部X線撮影心電図を行います。胸部X線では心臓の大きさや肺のうっ血の有無を確認し、心電図では不整脈や心筋障害の有無を評価します。

血液検査

血液検査では、BNP値やNT-proBNP値といった心不全の指標となるバイオマーカーを測定します。数値は心臓への負担の程度を反映するため、心不全の診断や重症度の判定に非常に有用です。数値が高い場合は心不全が進行している可能性が高く、詳しい検査が必要になります。

心臓超音波検査(心エコー)

心不全が疑われる場合には、心臓超音波検査(心エコー)を実施します。この検査では心臓の動きをリアルタイムで観察し、心筋の収縮や弁の動き、血液の流れを確認します。心臓のポンプ機能や弁膜の状態を可視化できるため、心不全のタイプや原因を特定する上で欠かせない検査です。心機能の評価は、治療方針を決定する上で重要な判断材料となります。当院ではこれらすべての検査を院内で実施することが可能です。

精密検査

必要に応じてCTやMRI、核医学検査、心臓カテーテル検査などの精密検査を追加で行う場合があります。高度な検査が必要な際には、当院と連携する総合病院をご紹介し、迅速かつ安全な検査・治療を受けられる体制を整えています。

心不全の治療

心不全の治療には、薬による治療と薬以外の治療があります。薬以外の非薬物治療では、運動療法の重要性が高まり、植込み型除細動器(ICD)や心臓再同期療法(CRT)といった機器を使う治療も一般的になりました。さらに、経皮的僧帽弁修復術(MitraClip)という新しい治療法も登場しています。

薬物療法

クリニックでは薬物療法が中心です。これまでは、ACE阻害薬(またはARB)、β遮断薬、MRAの3剤を組み合わせる方法でしたが、現在はSGLT2阻害薬を加えた「4剤併用療法(Fantastic Four)」が推奨されつつあります。これらの薬は、心臓に負担をかけるホルモンの働きを抑え、心臓の働きを守る効果があります。

ARNI・SGLT2阻害薬・イバブラジン・ベルイシグアト

ACE阻害薬やARBは長年心不全治療の中心でしたが、最近ではARNI(エンレスト®)という新しい薬が登場しました。ARBに心臓を保護する成分を加えたもので、より高い治療効果が期待されています。また、SGLT2阻害薬(フォシーガ®、ジャディアンス®)はもともと糖尿病の薬でしたが、心不全の進行を抑える効果が確認され、糖尿病の有無にかかわらず使われるようになっています。さらに、心拍数だけを下げて心臓の負担を軽くするイバブラジン(コララン®)や、全く新しい作用を持つベルイシグアト(ベリキューボ®)など、新しい薬の選択肢も増えています。

赤羽で心不全なら赤羽内科クリニック

赤羽駅から徒歩1分の赤羽内科クリニックでは、「心不全」に関する診療を行っております。「息苦しさ」や「むくみ」、「疲れやすさ」など気になる症状やお悩みがある方は、進行する前に早めの受診がおすすめです。当院では丁寧な検査と診断を行っております。

医院概要

医院名:赤羽内科クリニック
診療科目:一般内科、循環器内科
院長:高木 昌浩
住所:東京都北区赤羽西1丁目15-14 エル・ルージュ赤羽西2F
電話番号:03-5948-5945
ウェブサイト:https://akabanenaika.com/