日本では、「脂質異常症(高脂血症)」が年々増加傾向にあります。血液中のコレステロールや中性脂肪が基準値を超えることで、動脈硬化や心筋梗塞、脳梗塞といった重大な病気の原因になるため、早期発見と継続的な管理が欠かせません。
厚生労働省の調査によると、治療を受けている脂質異常症の患者は全国で約458万人にのぼり、特に女性の受診者が多い傾向があります。また、年齢を重ねるにつれて発症率は上昇し、男性は30〜50代、女性は更年期以降に急増することが分かっています。

本記事では、「脂質異常症(高脂血症)」について解説します。自覚症状がなくても、血液検査でコレステロールや中性脂肪の値が高い場合は注意が必要です。
脂質異常症(高脂血症)とは?
脂質異常症とは、血液中の脂質、つまり「コレステロール」や「中性脂肪(トリグリセライド)」の値が基準範囲を超えて異常を示す状態を指します。脂質異常症は、LDLコレステロール(悪玉コレステロール)が高い、HDLコレステロール(善玉コレステロール)が低い、中性脂肪が高いといった状態が該当します。
以前は「高脂血症」と呼ばれていましたが、現在では、脂質が「高い」だけでなく「低い」場合も含めて「脂質異常症」と総称されるようになりました。
コレステロールとは?
コレステロールは、体内の細胞膜やホルモン、胆汁酸などをつくるために欠かせない脂質の一種です。体に悪いイメージを持たれがちですが、実は生命活動に必要な重要な成分です。体内のコレステロールの約7割は肝臓で合成され、残りは食事から摂取されています。
コレステロールには主に2種類あり、LDLコレステロール(悪玉)とHDLコレステロール(善玉)があります。LDLは肝臓から全身へコレステロールを運ぶ役割を持ちますが、増えすぎると血管の内側に脂肪が溜まり、動脈硬化の原因になります。一方、HDLは余分なコレステロールを血管から回収して肝臓に戻す働きをし、血管を守る役割を果たします。つまり、コレステロールは量のバランスが大切であり、高すぎても低すぎても健康に影響を及ぼします。
高コレステロール血症とは?
高コレステロール血症は、「血中のコレステロール値が高い」状態を指します。具体的にはLDLコレステロールが140mg/dL以上の場合などを指します。高コレステロール血症は脂質異常症の一種です。
脂質異常症の原因
脂質異常症の原因は、大きく「一次性(原発性)」と「二次性(続発性)」に分けられます。
一次性は主に遺伝によって引き起こされ、親から受け継いだ体質によってコレステロールや中性脂肪が高くなりやすいタイプです。特に「家族性高コレステロール血症」は遺伝的にLDLコレステロールが高くなる代表的な疾患です。
二次性は生活習慣や他の病気が原因となって発症します。脂質異常症の多くはこちらに該当し、脂っこい食事、過度な飲酒、運動不足、肥満、喫煙などが主な要因です。また、糖尿病、腎臓病、肝臓病などの影響でも脂質の代謝バランスが崩れやすくなります。さらに、ストレスや睡眠不足なども間接的に脂質代謝を悪化させるため、生活習慣の見直しが予防と改善の基本になります。
脂質異常症の症状
脂質異常症は「沈黙の病気」と呼ばれるほど、自覚症状がほとんどないのが特徴です。血液中の脂質(コレステロールや中性脂肪)が高くても、日常生活の中で痛みや違和感を感じることはほとんどありません。そのため、健康診断で初めて異常を指摘されるケースが多く見られます。
長期間放置すると血管の内側に脂質が蓄積して動脈硬化が進行します。これにより、血管が狭くなったり、硬くなったりして血流が悪化し、心筋梗塞や脳梗塞などの重大な疾患を引き起こす可能性があります。また、まれに皮膚やまぶたなどに「黄色腫(おうしょくしゅ)」と呼ばれる脂肪の塊ができる場合もあります。
脂質異常症の診断
脂質異常症の診断は、主に血液検査(空腹時採血)によって行われます。血液中の脂質成分であるLDLコレステロール、HDLコレステロール、中性脂肪(トリグリセライド)の数値を測定し、基準値と比較して判断します。検査は前日の夕食後から絶食して行うのが一般的で、正確な数値を得るために12時間以上の空腹状態が望ましいとされています。
日本動脈硬化学会の基準では、LDLコレステロールが140mg/dL以上、HDLコレステロールが40mg/dL未満、中性脂肪が150mg/dL以上の場合に脂質異常症と診断されます。数値のどの項目が異常かによって、動脈硬化や心血管疾患のリスクの種類や程度が異なります。また、家族性の疑いがある場合や合併症の有無を確認するために、遺伝子検査や肝機能・腎機能などの追加検査を行うこともあります。
脂質異常症の治療
脂質異常症の治療は、食事と運動による生活習慣の改善が基本です。これらを2〜3ヶ月程度続けても効果が不十分な場合や、動脈硬化のリスクが高い場合は、薬の服用が検討されます。薬物療法では、脂質異常症のタイプに応じた様々な種類の薬が処方されます。
脂質異常症を放置するリスク
脂質異常症を放置すると動脈硬化が進行する恐れがあります。血液中に余分なLDLコレステロールや中性脂肪が増えると、血管の内側に脂質が蓄積し、血管が硬く狭くなります。これが動脈硬化であり、進行すると血流が滞り、さまざまな臓器に深刻な影響を及ぼします。
特にリスクが高いのは、心筋梗塞や狭心症、脳梗塞などの命に関わる疾患です。また、下肢の血流が悪化することで「閉塞性動脈硬化症」を引き起こし、歩行時の痛みやしびれを感じるようになることもあります。さらに、脂質異常症は糖尿病や高血圧と合併しやすく、これらが重なると動脈硬化のスピードが加速します。
赤羽で脂質異常症なら赤羽内科クリニック
赤羽駅から徒歩1分の赤羽内科クリニックでは、脂質異常症に関する診療を行っております。脂質異常症(高脂血症)は自覚症状がほとんどないまま進行し、気づいたときには重大な疾患につながるケースも少なくありません。気になる症状がある場合はお気軽にご相談ください。
医院概要
医院名:赤羽内科クリニック
診療科目:一般内科、循環器内科
院長:高木 昌浩
住所:東京都北区赤羽西1丁目15-14 エル・ルージュ赤羽西2F
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