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不整脈とは?脈の乱れ(動悸、脈が飛ぶ)|赤羽内科クリニック

  • 更新日:2025.10.09
  • 公開日:2025.10.09

日本では高齢化の進行とともに、心臓のリズム異常である「不整脈」を抱える人が年々増えています。特に代表的な「心房細動」は、脈が不規則に乱れることで血栓ができやすくなり、脳梗塞や心不全を引き起こす原因にもなる重要な疾患です。

厚生労働省の調査では、心房細動の患者は全国で100万人を超えるとされ、一般集団での有病率は0.5〜1%前後と推定されています。70歳を超えるとその割合は急激に上昇し、80歳以上では6%前後に達するとの報告もあります。特に男性の発症率が高く、加齢とともに発症リスクが顕著に高まる傾向が確認されています。

本記事では、「不整脈」について解説します。これまで自覚症状が少ないまま進行していた潜在的な不整脈も、検診や健康診断によって発見されるケースが増加しています。不整脈は、放置すれば合併症のリスクを伴うため、早期発見が重要です。

不整脈とは?

不整脈とは、心臓の拍動(リズム)が正常な規則性から外れてしまう状態を指します。通常、心臓は洞結節という部分が電気信号を一定のリズムで発生させ、その信号が心房から心室へと伝わることで、規則正しい拍動を保っています。しかし、この電気信号の発生や伝導に異常が起こると、脈が「速くなる」「遅くなる」「不規則になる」などの乱れが生じ、これを総称して不整脈と呼びます。

心臓のリズムの乱れは、加齢や高血圧、心臓病、ストレス、過労、アルコール摂取など、さまざまな要因が関係しています。

不整脈の種類

不整脈は大きく分けると「脈が速くなるタイプ(頻脈性不整脈)」「脈が遅くなるタイプ(徐脈性不整脈)」「一時的に不規則な拍動が起こるタイプ(期外収縮)」の3つに分類されます。主に心臓のどの部位で異常な電気信号が発生しているか、また脈の乱れ方がどのように現れるかによって区別されます。

不整脈は軽度から命に関わる重症型まで幅が広く、症状の有無だけで判断せず、医療機関での検査によって正確に評価することが重要です。

頻脈性不整脈

頻脈性不整脈の代表例が「心房細動(しんぼうさいどう)」で、心房が細かく震えるように動き、脈が不規則になる状態です。高齢者に多く、血流がよどみやすくなるため血栓ができやすく、脳梗塞の原因となることもあります。これに似た「心房粗動」も心房が速く収縮するタイプで、規則的なリズムの乱れが特徴です。

また、「心室頻拍」や「心室細動」は心室で異常な電気信号が発生する危険な不整脈で、失神や心停止を引き起こすことがあり、迅速な治療が必要です。ほかにも、「心房頻拍」「発作性上室(心房)性頻拍」「WPW症候群(ウォルフ・パーキンソン・ホワイト症候群)」などもこのグループに含まれます。

心房細動、心房頻拍、心室細動、心室頻拍、WPW症候群、発作性上室(心房)性頻拍

徐脈性不整脈

脈が遅くなる「徐脈性不整脈」は、心臓の電気信号が正常に伝わらないことで拍動が極端に遅くなる状態です。洞結節の働きが弱まる「洞不全症候群」や、心房から心室への信号伝導が途絶える「房室ブロック」などが該当します。これらはめまいや倦怠感、失神を引き起こすことがあり、重症の場合はペースメーカー治療が行われます。

洞不全症候群、房室ブロック

期外収縮

健康な人にも起こることがあるのが「期外収縮」です。これは一拍だけ心臓が早く動く状態で、多くは一時的で問題にならないものの、頻発する場合は他の不整脈のサインであることもあります。代表的なものに「心房性期外収縮」と「心室性期外収縮」があります。

心房性期外収縮、心室性期外収縮

不整脈の注意すべき症状

不整脈の注意すべき症状は、「動悸」や「脈の乱れ」です。突然ドキドキと強い鼓動を感じたり、脈が飛ぶような感覚が続く場合は不整脈が関係していることがあります。また、「息切れ」「胸の痛み」「胸の圧迫感」などの症状を伴う場合は、心臓が十分に血液を送り出せていない可能性があり、心不全狭心症などの合併症が疑われます。

さらに、「めまい」「ふらつき」「意識が遠のく」「失神」などの症状は、脳へ送られる血液が一時的に不足しているサインです。特に徐脈性不整脈(脈が遅くなるタイプ)や重度の頻脈性不整脈では、脳への血流が低下しやすく、緊急性を伴うことがあります。また、心房細動などの一部の不整脈は、自覚症状がないまま進行し、血栓ができやすくなることで脳梗塞を引き起こすこともあります。

不整脈の原因

不整脈の原因は、心臓そのものの異常によるものと、生活習慣や全身の状態に影響を受けて起こるものの大きく二つに分けられます。心臓は電気信号によって拍動をコントロールしていますが、この信号の発生や伝わり方に乱れが生じることで、脈が速くなったり遅くなったり、不規則になったりします。

心臓に原因がある場合

心臓に原因がある場合として多いのは、冠動脈疾患(狭心症・心筋梗塞)や心筋症、心不全、弁膜症などです。これらの病気では、心筋や電気信号を伝える組織が傷ついたり変化したりすることで、正常なリズムが保てなくなります。特に高血圧や動脈硬化が進むと、心臓に負担がかかり、不整脈が起こりやすくなります。

心臓以外の要因

心臓以外の要因としては、ストレスや睡眠不足、過度な飲酒、喫煙、カフェインの過剰摂取、脱水、急激な気温変化などが挙げられます。また、甲状腺機能の異常(甲状腺機能亢進症・低下症)や貧血、腎疾患、糖尿病といった全身疾患も不整脈を引き起こす要因になります。さらに、薬の副作用や電解質(カリウム・ナトリウムなど)のバランス異常も関係します。

加齢も大きな要素であり、年齢とともに心臓の伝導系が老化して電気信号の伝わり方が不安定になるため、高齢になるほど発症リスクは高まります。とくに心房細動などは、加齢と高血圧の両方が関与する代表的な不整脈です。

不整脈の検査

不整脈が疑われる場合は心電図検査を行います。心臓の電気信号を波形として記録し、脈のリズムや伝導異常を確認します。ただし、通常の心電図は数秒から数分程度しか記録できないため、検査中に不整脈が出なければ異常が捉えられないこともあります。

不整脈が頻繁に起こる場合

不整脈が頻繁に起こる場合(数日に1回以上など)は、「24時間ホルター心電図」が有効です。これは小型の携帯装置を装着し、日常生活を送りながら心電図を24時間連続で記録する検査です。発作時の心電図波形を捉えることで、不整脈の種類や発生頻度、危険な不整脈の有無、症状との関連性を詳しく評価できます。装着したまま普段通りに生活できるため、診断だけでなく治療効果の確認にも役立ちます。

不整脈の頻度が少ない場合

不整脈の頻度が少ない場合は、ホルター心電図を行っても検出できないことがあります。「検査の日に限って発作が起こらない」というケースも珍しくありません。そのような場合には、「携帯型心電計」や「スマートウォッチ」を活用し、症状が出た瞬間に患者自身が心電図を記録する方法が有効です。こうした機器で得られた波形を受診時に提示することで、医師が診断をつけやすくなります。

また、不整脈が心臓の構造的な異常や他の疾患に関連しているかを確認するために、胸部レントゲン検査、心臓超音波(エコー)検査、運動負荷心電図検査などが行われます。いずれも痛みを伴わない安全な検査です。心臓超音波検査では、心臓の形や動き、弁の状態を評価し、心筋症や弁膜症などの有無を確認します。運動負荷心電図検査では、トレッドミルなどで体を動かし、運動によって不整脈が出るかどうかを調べます。

不整脈の治療

徐脈性不整脈の治療

徐脈性不整脈(脈が遅くなるタイプ)では、症状がない場合には治療を行わず、経過観察で問題ないことが多いです。しかし、めまいやふらつき、失神などがみられる場合は、心臓の拍動を補うペースメーカー治療が適応となります。ペースメーカーは小型の機器を胸の皮下に埋め込み、一定のリズムで電気刺激を送ることで安定した心拍を保ちます。

頻脈性不整脈の治療

頻脈性不整脈(脈が速くなるタイプ)や期外収縮では、症状の強さや発作の頻度に応じて治療法を選択します。軽度で自覚症状が少ない場合には経過観察と生活習慣の改善で様子を見ることもありますが、動悸や胸の不快感が強い場合には薬物療法(抗不整脈薬)が有効です。薬によって脈の乱れを整え、発作の再発を防ぐことを目的とします。

薬の効果がない場合の治療

薬で十分な効果が得られない場合や再発を繰り返すケースでは、カテーテル・アブレーション(焼灼術)が検討されます。これはカテーテルを心臓の中に挿入し、不整脈の原因となる異常な電気信号の発生部位を高周波で焼き切る治療法です。近年この分野は大きく進歩しており、特に心房細動や期外収縮の治療において高い効果が確認されています。薬の服用を続けることなく根治を目指せるケースも多く、再発率の低減にも寄与しています。

赤羽で不整脈なら赤羽内科クリニック

赤羽駅から徒歩1分の赤羽内科クリニックでは、不整脈に関する診療を行っております。動悸や脈が飛ぶなど、脈の乱れや気になる症状がある場合は、お気軽にご相談ください。当院では丁寧な検査と診断を行っております。

医院概要

医院名:赤羽内科クリニック
診療科目:一般内科、循環器内科
院長:高木 昌浩
住所:東京都北区赤羽西1丁目15-14 エル・ルージュ赤羽西2F
電話番号:03-5948-5945
ウェブサイト:https://akabanenaika.com/