日本では高齢化の進行とともに、心臓のリズム異常である「不整脈」を抱える人が年々増えています。特に代表的な「心房細動」は、脈が不規則に乱れることで血栓ができやすくなり、脳梗塞や心不全を引き起こす原因にもなる重要な疾患です。
厚生労働省の調査では、心房細動の患者は全国で100万人を超えるとされ、一般集団での有病率は0.5〜1%前後と推定されています。70歳を超えるとその割合は急激に上昇し、80歳以上では6%前後に達するとの報告もあります。特に男性の発症率が高く、加齢とともに発症リスクが顕著に高まる傾向が確認されています。

本記事では、「不整脈」について解説します。これまで自覚症状が少ないまま進行していた潜在的な不整脈も、検診や健康診断によって発見されるケースが増加しています。不整脈は、放置すれば合併症のリスクを伴うため、早期発見が重要です。
不整脈とは?
不整脈とは、心臓の拍動(リズム)が正常な規則性から外れてしまう状態を指します。通常、心臓は洞結節という部分が電気信号を一定のリズムで発生させ、その信号が心房から心室へと伝わることで、規則正しい拍動を保っています。しかし、この電気信号の発生や伝導に異常が起こると、脈が「速くなる」「遅くなる」「不規則になる」などの乱れが生じ、これを総称して不整脈と呼びます。
心臓のリズムの乱れは、加齢や高血圧、心臓病、ストレス、過労、アルコール摂取など、さまざまな要因が関係しています。
不整脈の種類
不整脈は大きく分けると「脈が速くなるタイプ(頻脈性不整脈)」「脈が遅くなるタイプ(徐脈性不整脈)」「一時的に不規則な拍動が起こるタイプ(期外収縮)」の3つに分類されます。主に心臓のどの部位で異常な電気信号が発生しているか、また脈の乱れ方がどのように現れるかによって区別されます。
不整脈は軽度から命に関わる重症型まで幅が広く、症状の有無だけで判断せず、医療機関での検査によって正確に評価することが重要です。
頻脈性不整脈
頻脈性不整脈の代表例が「心房細動(しんぼうさいどう)」で、心房が細かく震えるように動き、脈が不規則になる状態です。高齢者に多く、血流がよどみやすくなるため血栓ができやすく、脳梗塞の原因となることもあります。これに似た「心房粗動」も心房が速く収縮するタイプで、規則的なリズムの乱れが特徴です。
また、「心室頻拍」や「心室細動」は心室で異常な電気信号が発生する危険な不整脈で、失神や心停止を引き起こすことがあり、迅速な治療が必要です。ほかにも、「心房頻拍」「発作性上室(心房)性頻拍」「WPW症候群(ウォルフ・パーキンソン・ホワイト症候群)」などもこのグループに含まれます。
心房細動、心房頻拍、心室細動、心室頻拍、WPW症候群、発作性上室(心房)性頻拍
徐脈性不整脈
脈が遅くなる「徐脈性不整脈」は、心臓の電気信号が正常に伝わらないことで拍動が極端に遅くなる状態です。洞結節の働きが弱まる「洞不全症候群」や、心房から心室への信号伝導が途絶える「房室ブロック」などが該当します。これらはめまいや倦怠感、失神を引き起こすことがあり、重症の場合はペースメーカー治療が行われます。
洞不全症候群、房室ブロック
期外収縮
健康な人にも起こることがあるのが「期外収縮」です。これは一拍だけ心臓が早く動く状態で、多くは一時的で問題にならないものの、頻発する場合は他の不整脈のサインであることもあります。代表的なものに「心房性期外収縮」と「心室性期外収縮」があります。
心房性期外収縮、心室性期外収縮
不整脈の注意すべき症状
不整脈の注意すべき症状は、「動悸」や「脈の乱れ」です。突然ドキドキと強い鼓動を感じたり、脈が飛ぶような感覚が続く場合は不整脈が関係していることがあります。また、「息切れ」「胸の痛み」「胸の圧迫感」などの症状を伴う場合は、心臓が十分に血液を送り出せていない可能性があり、心不全や狭心症などの合併症が疑われます。
さらに、「めまい」「ふらつき」「意識が遠のく」「失神」などの症状は、脳へ送られる血液が一時的に不足しているサインです。特に徐脈性不整脈(脈が遅くなるタイプ)や重度の頻脈性不整脈では、脳への血流が低下しやすく、緊急性を伴うことがあります。また、心房細動などの一部の不整脈は、自覚症状がないまま進行し、血栓ができやすくなることで脳梗塞を引き起こすこともあります。
不整脈の原因
不整脈の原因は、心臓そのものの異常によるものと、生活習慣や全身の状態に影響を受けて起こるものの大きく二つに分けられます。心臓は電気信号によって拍動をコントロールしていますが、この信号の発生や伝わり方に乱れが生じることで、脈が速くなったり遅くなったり、不規則になったりします。
心臓に原因がある場合
心臓に原因がある場合として多いのは、冠動脈疾患(狭心症・心筋梗塞)や心筋症、心不全、弁膜症などです。これらの病気では、心筋や電気信号を伝える組織が傷ついたり変化したりすることで、正常なリズムが保てなくなります。特に高血圧や動脈硬化が進むと、心臓に負担がかかり、不整脈が起こりやすくなります。
心臓以外の要因
心臓以外の要因としては、ストレスや睡眠不足、過度な飲酒、喫煙、カフェインの過剰摂取、脱水、急激な気温変化などが挙げられます。また、甲状腺機能の異常(甲状腺機能亢進症・低下症)や貧血、腎疾患、糖尿病といった全身疾患も不整脈を引き起こす要因になります。さらに、薬の副作用や電解質(カリウム・ナトリウムなど)のバランス異常も関係します。
加齢も大きな要素であり、年齢とともに心臓の伝導系が老化して電気信号の伝わり方が不安定になるため、高齢になるほど発症リスクは高まります。とくに心房細動などは、加齢と高血圧の両方が関与する代表的な不整脈です。
不整脈の検査
不整脈が疑われる場合は心電図検査を行います。心臓の電気信号を波形として記録し、脈のリズムや伝導異常を確認します。ただし、通常の心電図は数秒から数分程度しか記録できないため、検査中に不整脈が出なければ異常が捉えられないこともあります。
不整脈が頻繁に起こる場合
不整脈が頻繁に起こる場合(数日に1回以上など)は、「24時間ホルター心電図」が有効です。これは小型の携帯装置を装着し、日常生活を送りながら心電図を24時間連続で記録する検査です。発作時の心電図波形を捉えることで、不整脈の種類や発生頻度、危険な不整脈の有無、症状との関連性を詳しく評価できます。装着したまま普段通りに生活できるため、診断だけでなく治療効果の確認にも役立ちます。
不整脈の頻度が少ない場合
不整脈の頻度が少ない場合は、ホルター心電図を行っても検出できないことがあります。「検査の日に限って発作が起こらない」というケースも珍しくありません。そのような場合には、「携帯型心電計」や「スマートウォッチ」を活用し、症状が出た瞬間に患者自身が心電図を記録する方法が有効です。こうした機器で得られた波形を受診時に提示することで、医師が診断をつけやすくなります。
また、不整脈が心臓の構造的な異常や他の疾患に関連しているかを確認するために、胸部レントゲン検査、心臓超音波(エコー)検査、運動負荷心電図検査などが行われます。いずれも痛みを伴わない安全な検査です。心臓超音波検査では、心臓の形や動き、弁の状態を評価し、心筋症や弁膜症などの有無を確認します。運動負荷心電図検査では、トレッドミルなどで体を動かし、運動によって不整脈が出るかどうかを調べます。
不整脈の治療
徐脈性不整脈の治療
徐脈性不整脈(脈が遅くなるタイプ)では、症状がない場合には治療を行わず、経過観察で問題ないことが多いです。しかし、めまいやふらつき、失神などがみられる場合は、心臓の拍動を補うペースメーカー治療が適応となります。ペースメーカーは小型の機器を胸の皮下に埋め込み、一定のリズムで電気刺激を送ることで安定した心拍を保ちます。
頻脈性不整脈の治療
頻脈性不整脈(脈が速くなるタイプ)や期外収縮では、症状の強さや発作の頻度に応じて治療法を選択します。軽度で自覚症状が少ない場合には経過観察と生活習慣の改善で様子を見ることもありますが、動悸や胸の不快感が強い場合には薬物療法(抗不整脈薬)が有効です。薬によって脈の乱れを整え、発作の再発を防ぐことを目的とします。
薬の効果がない場合の治療
薬で十分な効果が得られない場合や再発を繰り返すケースでは、カテーテル・アブレーション(焼灼術)が検討されます。これはカテーテルを心臓の中に挿入し、不整脈の原因となる異常な電気信号の発生部位を高周波で焼き切る治療法です。近年この分野は大きく進歩しており、特に心房細動や期外収縮の治療において高い効果が確認されています。薬の服用を続けることなく根治を目指せるケースも多く、再発率の低減にも寄与しています。
赤羽で不整脈なら赤羽内科クリニック
赤羽駅から徒歩1分の赤羽内科クリニックでは、不整脈に関する診療を行っております。動悸や脈が飛ぶなど、脈の乱れや気になる症状がある場合は、お気軽にご相談ください。当院では丁寧な検査と診断を行っております。
医院概要
医院名:赤羽内科クリニック
診療科目:一般内科、循環器内科
院長:高木 昌浩
住所:東京都北区赤羽西1丁目15-14 エル・ルージュ赤羽西2F
電話番号:03-5948-5945
ウェブサイト:https://akabanenaika.com/
日本では高齢化の進展に伴い、心疾患が重要な健康課題として注目されています。その中でも狭心症と心筋梗塞は、いずれも心臓の血流が不足することで起こる虚血性心疾患であり、急性期には命に関わる場合もあります。
特に男性や高齢者(65歳以上)での発症が多く、生活習慣病との関連も深いことがわかっています。厚生労働省の調査では、狭心症の患者数は約85万人、急性心筋梗塞は約7万5千人に上ります。

本記事では、「狭心症」と「心筋梗塞」について解説します。胸の中央や左側に締め付けられるような痛みや圧迫感、腕やあごに広がる痛みがある場合は、軽くても早めの受診が必要です。息切れや動悸、冷や汗、吐き気が伴ったり、薬で改善しない場合も、すぐに医療機関に相談することが大切です。
狭心症や心筋梗塞とは?
狭心症や心筋梗塞は、「虚血性心疾患」と呼ばれる心臓の病気です。どちらも心臓の筋肉(心筋)に十分な血液が行き渡らなくなることで起こりますが、発症の過程や病状が異なります。
狭心症は、心臓を栄養する冠動脈が一時的に狭くなり、心筋への血流が不足している状態を指します。心筋梗塞は、冠動脈が完全に詰まってしまい、心筋の一部が壊死してしまった状態を意味します。
どちらも心臓に負担をかける重大な疾患であり、生活習慣や加齢、動脈硬化の進行などが深く関係しています。発症のメカニズムは似ていますが、狭心症は一時的な血流障害、心筋梗塞は血流が途絶したまま回復しないという違いがあります。
狭心症や心筋梗塞の症状
狭心症の主な症状は、胸の中央あたりが締めつけられるような痛みや圧迫感です。痛みは左肩、腕、首、あご、背中などに広がることもあります。多くの場合、数分以内におさまるのが特徴で、階段を上ったり、重いものを持ったりするなど、体を動かした際に起こりやすく、安静にすると自然に落ち着くことがあります。また、息苦しさや動悸、冷や汗などを伴うことも少なくありません。
心筋梗塞は、狭心症よりも強く、長く続く痛みが特徴です。安静にしていても痛みが治まらず、30分以上続く場合もあります。激しい胸の痛みとともに、呼吸困難、冷や汗、吐き気、めまい、全身のだるさなどが起こり、意識を失うケースもあります。中には、典型的な胸痛がない「無痛性心筋梗塞」もあり、特に高齢者や糖尿病のある人では注意が必要とされています。
狭心症や心筋梗塞の原因
狭心症や心筋梗塞の原因の多くは、冠動脈と呼ばれる心臓の血管が狭くなったり、詰まったりすることによって心筋への血流が妨げられることです。その背景には「動脈硬化」と呼ばれる血管の老化現象が深く関わっています。動脈硬化が進行すると、血管の内側にコレステロールなどの脂質が沈着してプラーク(粥状の塊)が形成され、血管の内腔が狭くなります。これが進むと、血液の通り道が細くなり、心筋に十分な酸素が届かなくなってしまいます。
狭心症は、主にこのプラークによって血流が一時的に制限されることで起こります。一方、心筋梗塞は、プラークが破裂して血栓ができ、冠動脈が完全に塞がれてしまうことで発症します。さらに、高血圧、脂質異常症、糖尿病、喫煙、ストレス、肥満、運動不足といった生活習慣が重なることで動脈硬化の進行が加速し、狭心症や心筋梗塞の発症リスクが高まります。
狭心症や心筋梗塞の診断・検査
狭心症や心筋梗塞の診断では、症状の経過や持続時間、痛みの部位などを詳しく聞き取ります。その上で、心臓の働きや血流の状態を確認するために、いくつかの検査を組み合わせて行います。
心電図検査
基本となるのは「心電図検査」です。心電図では、心臓の電気的な動きを波形として記録し、血流不足や心筋障害の有無を判断します。狭心症の場合は発作時に異常が現れるため、症状が出たタイミングでの記録が重要とされています。
心エコー検査(超音波検査)と血液検査
より詳しく調べるために「心エコー検査(超音波検査)」や「血液検査」も行われます。心エコーでは心臓の動きをリアルタイムで観察し、血液の流れや心筋の収縮力を確認します。血液検査では、心筋が損傷した際に血中に放出される酵素やたんぱく質(トロポニンなど)を測定し、心筋梗塞の診断に役立てます。
狭心症や心筋梗塞の治療
狭心症の治療
狭心症の場合、薬による治療が基本です。血管を拡張して血流を改善する「硝酸薬」や、心臓の負担を軽減する「β遮断薬」、血液をさらさらにして血栓を防ぐ「抗血小板薬」などが用いられます。薬によって、発作を抑えながら動脈硬化の進行を遅らせることが目指されます。生活習慣の改善も同時に行われ、禁煙、食事の見直し、適度な運動が重要とされています。
心筋梗塞の治療
心筋梗塞の場合は、緊急性が非常に高く、速やかな血流の再開が何より重要です。治療の中心となるのは「経皮的冠動脈形成術(PCI)」で、カテーテルを使って詰まった血管を広げる方法です。バルーンで血管を拡張し、ステントと呼ばれる金属の筒を留置して再び狭くならないようにします。
場合によっては「冠動脈バイパス手術」が行われることもあります。急性期の治療後も、再発を防ぐために薬物療法と生活習慣の管理が継続されます。心臓リハビリテーションによる体力回復と再発予防の支援も、重要な治療の一環とされています。
赤羽で狭心症や心筋梗塞なら赤羽内科クリニック
赤羽駅から徒歩1分の赤羽内科クリニックでは、狭心症や心筋梗塞に関する診療を行っております。胸の中央や左側に締め付けられるような痛みや圧迫感、腕やあごに広がる痛みがある場合は、軽くても早めの受診が必要です。また、息切れや動悸、冷や汗、吐き気が伴ったり、薬で改善しない場合も、すぐに医療機関に相談することが大切です。
医院概要
医院名:赤羽内科クリニック
診療科目:一般内科、循環器内科
院長:高木 昌浩
住所:東京都北区赤羽西1丁目15-14 エル・ルージュ赤羽西2F
電話番号:03-5948-5945
ウェブサイト:https://akabanenaika.com/
心疾患は日本人の死因第2位
日本における心不全は、患者数が約120万人と推定され、今後も高齢化に伴い増加すると考えられています。特に75歳以上で発症率が急上昇し、80歳を超えると10人に1人が心不全を抱えるといわれています。
男女ともに発症しますが、男性は心筋梗塞などを原因とするタイプ、女性は高血圧や加齢によるタイプが多くみられます。心不全は一度発症すると再入院を繰り返すことが多く、医療や介護の負担も大きい疾患です。

本記事では、「心不全」について解説します。厚生労働省によると、心不全を含む心疾患は日本人の死因第2位に位置しており、生活習慣病の管理や早期治療が極めて重要とされています。
心不全とは?
心不全とは、心臓のポンプ機能が低下し、全身に十分な血液を送り出せなくなった状態を指します。心臓は本来、酸素や栄養を体中に届ける重要な役割を担っていますが、その働きが弱まると、体の臓器や組織に必要な血液が行き渡らず、息切れやむくみ、倦怠感などの症状が現れます。
心不全は病名というよりも「状態」を示す言葉で、心筋梗塞や高血圧、心筋症など、心臓疾患の結果として発症することが多いです。急に症状が悪化する「急性心不全」と、長期間にわたって徐々に進行する「慢性心不全」に分けられます。
急性心不全
急性心不全とは、心臓のポンプ機能が急激に低下し、全身に血液をうまく送り出せなくなる状態を指します。数時間から数日のうちに突然発症することが多く、命に関わることもあるため、迅速な対応が必要です。慢性的に心臓の機能が低下していた人に起こる「慢性心不全の急性増悪」と、これまで心臓に問題がなかった人に突然起こる「新規発症型」の二つのタイプがあります。
慢性心不全
慢性心不全とは、心臓のポンプ機能が長期間にわたって徐々に低下し、全身に十分な血液を送り出せなくなっている状態を指します。急性心不全のように突然発症するわけではなく、少しずつ進行していくのが特徴です。初期のうちは自覚症状がほとんどなく、疲れやすい、息切れがするなどの軽い不調として現れるため、見過ごされやすい傾向にあります。
心不全の症状
心不全の症状は、心臓のポンプ機能がどの程度低下しているか、また右心不全か左心不全かによって異なりますが、共通して「息苦しさ」「むくみ」「疲れやすさ」といった全身の循環不良によるサインが現れます。
また、その他の症状として、全身のだるさや疲れやすさ、集中力の低下、動悸、冷え、めまいなどもあります。血流が悪くなることで脳や筋肉への酸素供給が減少し、体全体の活力が低下します。特に高齢の方では、「なんとなく元気が出ない」「食欲がない」といった一見軽い不調が心不全の初期症状である場合も少なくありません。
左心不全
左心の働きが弱まると、心臓が全身へ血液を十分に送り出せず、肺に血液が滞って「肺うっ血」が起こります。この状態では呼吸に関する症状が目立ち、動いたときの息切れや坂道・階段での呼吸困難、横になると息苦しくなる「起座呼吸」、夜中に息苦しさで目が覚める「夜間発作性呼吸困難」などが見られます。軽い運動で息切れを感じる場合は、左心不全の初期サインの可能性があります。
右心不全
右心の働きが弱まると、血液が体の静脈側に滞留し、足やくるぶし、すねなどにむくみが出やすくなります。進行すると腹部にも水分がたまり「腹水」となり、胃の圧迫感や食欲不振を引き起こすことがあります。体重の急な増加は、体内の水分が増えているサインであり、日々の体重変化をチェックすることも大切です。
心不全の原因
心不全の原因は、心臓そのものに障害が生じる場合と、心臓に負担をかける他の病気や生活習慣による場合とに分けられます。いずれも共通して、心臓が全身に十分な血液を送り出せなくなることが根本的な問題です。
心筋梗塞や虚血性心疾患
代表的な原因は「心筋梗塞」や「虚血性心疾患」です。心臓に血液を送る冠動脈が詰まることで心筋が壊死し、ポンプ機能が低下します。心筋の一部がダメージを受けると、他の部位が補おうとして負担が増し、やがて全体の機能が弱まります。
また、慢性的に冠動脈が狭くなって酸素が足りない状態が続く「虚血性心疾患」も、徐々に心筋の収縮力を奪い、心不全を引き起こします。
高血圧
次に多いのが「高血圧」です。血圧が長期間高い状態が続くと、心臓は強い圧力に逆らって血液を押し出さなければならず、心筋が厚くなって硬くなります。これを「心肥大」と呼び、やがて心臓が拡張しにくくなり、血液を十分に送り出せなくなります。
弁膜症
「弁膜症」も原因の一つです。心臓の中には血液の逆流や停滞を防ぐ弁がありますが、この弁が狭くなったり(狭窄)、閉じなくなったり(逆流)すると、血液の流れが妨げられます。弁膜症は高齢者に多く、進行すると心臓に大きな負担をかけて心不全を招きます。
心筋症
さらに「心筋症」も心不全を起こす代表的な病気です。原因不明の心筋の異常(拡張型・肥大型・拘束型など)により、心臓の収縮力や弛緩力が低下します。また、「不整脈」も拍動のリズムを乱し、効率的な血液の拍出を妨げるため、長期的には心不全につながります。
その他の疾患
そのほかにも、糖尿病や腎臓病、甲状腺機能異常、貧血などの全身疾患も心臓に負担をかけます。過度な飲酒や喫煙、ストレス、塩分の多い食事、肥満、運動不足などの生活習慣も悪化要因です。特に、これらの要因が複数重なることで、心臓の機能が急激に低下することがあります。
心不全の診断・検査
胸部X線撮影・心電図
心不全の診断では、問診と身体診察から始め、症状の経過や生活習慣、既往歴などを丁寧に確認します。息切れやむくみ、体重増加などの自覚症状がある場合は、心臓の働きが低下している可能性を考慮し、胸部X線撮影や心電図を行います。胸部X線では心臓の大きさや肺のうっ血の有無を確認し、心電図では不整脈や心筋障害の有無を評価します。
血液検査
血液検査では、BNP値やNT-proBNP値といった心不全の指標となるバイオマーカーを測定します。数値は心臓への負担の程度を反映するため、心不全の診断や重症度の判定に非常に有用です。数値が高い場合は心不全が進行している可能性が高く、詳しい検査が必要になります。
心臓超音波検査(心エコー)
心不全が疑われる場合には、心臓超音波検査(心エコー)を実施します。この検査では心臓の動きをリアルタイムで観察し、心筋の収縮や弁の動き、血液の流れを確認します。心臓のポンプ機能や弁膜の状態を可視化できるため、心不全のタイプや原因を特定する上で欠かせない検査です。心機能の評価は、治療方針を決定する上で重要な判断材料となります。当院ではこれらすべての検査を院内で実施することが可能です。
精密検査
必要に応じてCTやMRI、核医学検査、心臓カテーテル検査などの精密検査を追加で行う場合があります。高度な検査が必要な際には、当院と連携する総合病院をご紹介し、迅速かつ安全な検査・治療を受けられる体制を整えています。
心不全の治療
心不全の治療には、薬による治療と薬以外の治療があります。薬以外の非薬物治療では、運動療法の重要性が高まり、植込み型除細動器(ICD)や心臓再同期療法(CRT)といった機器を使う治療も一般的になりました。さらに、経皮的僧帽弁修復術(MitraClip)という新しい治療法も登場しています。
薬物療法
クリニックでは薬物療法が中心です。これまでは、ACE阻害薬(またはARB)、β遮断薬、MRAの3剤を組み合わせる方法でしたが、現在はSGLT2阻害薬を加えた「4剤併用療法(Fantastic Four)」が推奨されつつあります。これらの薬は、心臓に負担をかけるホルモンの働きを抑え、心臓の働きを守る効果があります。
ARNI・SGLT2阻害薬・イバブラジン・ベルイシグアト
ACE阻害薬やARBは長年心不全治療の中心でしたが、最近ではARNI(エンレスト®)という新しい薬が登場しました。ARBに心臓を保護する成分を加えたもので、より高い治療効果が期待されています。また、SGLT2阻害薬(フォシーガ®、ジャディアンス®)はもともと糖尿病の薬でしたが、心不全の進行を抑える効果が確認され、糖尿病の有無にかかわらず使われるようになっています。さらに、心拍数だけを下げて心臓の負担を軽くするイバブラジン(コララン®)や、全く新しい作用を持つベルイシグアト(ベリキューボ®)など、新しい薬の選択肢も増えています。
赤羽で心不全なら赤羽内科クリニック
赤羽駅から徒歩1分の赤羽内科クリニックでは、「心不全」に関する診療を行っております。「息苦しさ」や「むくみ」、「疲れやすさ」など気になる症状やお悩みがある方は、進行する前に早めの受診がおすすめです。当院では丁寧な検査と診断を行っております。
医院概要
医院名:赤羽内科クリニック
診療科目:一般内科、循環器内科
院長:高木 昌浩
住所:東京都北区赤羽西1丁目15-14 エル・ルージュ赤羽西2F
電話番号:03-5948-5945
ウェブサイト:https://akabanenaika.com/